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「海外に資産がある方」のための遺言書の書き方

遺言書作成チェック集(財産編) (10)遺言書の書き方講座

 こんにちは、「非接触オンライン遺言サポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。

 今回は、【遺言書の書き方講座 財産編 vol.11】として、『「海外に資産がある方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。

 遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。

 遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。

「海外に資産がある方」のための遺言書の書き方

今回のチェックポイント

  • 海外に資産を保有することのリスク
  • プロベイト手続とは
  • 財産の所在国の確認
  • 準拠法
  • 財産の所在国における対処

海外に資産があることのリスク

 海外に資産ある場合、海外の法制や税制を理解しなければいけません。

 さらに、日本と資産保有国の「為替の変動によるリスク」や、資産保有国の政治や経済情勢による資産価格の変動によるいわゆる「カントリーリスク」も生じることになります。

 そして、相続が発生した場合には、相続人にその負担やリスクが課されることになってしまいます。

 したがって、将来の相続を念頭に、被相続人側では、事前にリスクを減らす努力が必要になります。

 海外相続の場合、一般に現地と日本の相続の両面が対象となることが多く、現地と日本の両面に詳しい専門家の確保が必要となります。

プロベイト手続とは

 日本では、被相続人が死亡すると、被相続人の積極財産及び消極財産は、特別の清算手続を要することなく、相続人に帰属します。

 これを「包括承継主義」と呼びます。

 しかしながら、「プロベイト」という手続を採用している国もあります。

 プロベイトにおける手続では、相続が開始すると、被相続人の財産は、独立した人格を持った「遺産財団」となります。

 そして、管轄の裁判所が「人格代表者」という者を選任します。

 この人格代表者は、遺言がある場合には遺言執行者として、遺言がない場合には、遺産管理人として、被相続人の積極財産と消極財産を調査し、相続人の特定を行い、債務の弁済や税の申告納付を行った後、残余財産を相続人へ帰属させることになります。

 このよな制度を「管理清算主義」といいます。

財産の所在国の確認

 まず、財産の所在国においてどような制度が用いられているかを確認しなければなりません。 

 「管理清算主義」を採用している国は、アメリカ、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、マレーシアなどです。

 一方、「包括承継主義」を採用している国は、ドイツ、イタリア、フランス、スイスなどです。

 プロベイト手続が必要となる場合、財産の種類や財産額、財産が所在する国(州)、遺言の有無などによっても手続が異なります。

 プロベイト手続を行わない場合には、相続人は、遺産を自分の財産とすることになります。

 財産の所在国(州)によって異なりますが、このプロベイト手続を回避する方法があります。

 ①生前信託の設定 ②共有名義化 ③遺言書の作成

 いずれも現地の専門家に依頼をすることになるかと思いますので、現地と日本の両面に詳しい専門家の確保が必要となります。

準拠法

 相続が発生した場合、日本国の法律によるものか、それとも外国の法律によるのかという「準拠法」の問題です。

 これには、まず、相続財産の種類によって区別せず、被相続人の居住地の法律を準拠法とする国(EU加盟国等)、被相続人の居住地の法律を準拠法とする国(日本、韓国など)、一方、相続財産の種類によって準拠法が変わる場合に分かれます。

財産の所在国における対処

 日本では、「相続は、被相続人の本国法による」(法の適用に関する通則法36)とされていますが、実際には、必ずしもこのとおりにスムーズに手続を進めることはできません。

 例えば、アメリカの金融機関において、日本で作成された(日本語で書かれた)遺言書を持参しても、すぐに手続をすることは難しいと思います。

 海外における資産承継をスムーズにするためには、財産の所在国の弁護士と相談をして、当該所在国における財産について、別途、その国の方式に従って遺言を作成しておくということが考えられます。

今回は、以上となります。

*参考文献 「遺言書作成・聴取事項のチェックポイント」伊庭 潔著

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