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親に遺言書の重要性を伝える方法

Professional advisor reviewing estate planning and will documents with an elderly couple in a living room 話題
A couple discusses their estate planning with a professional advisor at home.

「親に遺言書を書いてもらいたいのですが、どうやって切り出せばいいのでしょうか」。こうしたご相談を本当によくいただきます。

お話を伺うと、多くの方が同じところで足踏みをされています。切り出し方がわからない、頼んだら「縁起でもない」と言われそうで怖い。実際に切り出してみたら「うちは兄弟仲がいいから必要ない」と一蹴されてしまった。そんな声を、私は何度も聞いてきました。

遺言書の作成は、ご本人にしかできません。だからこそ、ご家族がどう最初の一歩を踏み出すかで、その後が大きく変わります。今日はその始め方を、実務の現場からお話しします。

「うちは大丈夫」と言う親御さんに、私が伝えること

親御さんが遺言書を断る理由は、ほとんどの場合「子どもたちは揉めないと思っている」か「自分の死後のことを考えたくない」のどちらかです。

私は、この二つはまったく別の問題だと考えています。前者は事実の誤解であり、後者は感情の問題です。同じ「必要ない」という言葉でも、ここを見分けないまま説得を続けても、話は前に進みません。

私が最初に確認するのは、どちらのタイプなのかという点です。なぜなら、その後に伝えるべき言葉がまったく変わってくるからです。

誤解のほうであれば、事実をお伝えするだけで解けることがあります。私は遺言書の作成を、病気にならないための予防注射のようなものだとお伝えしています。仲が良いご家族だからこそ、揉めないための備えが生きるのです。実際、仲の良かったご家族が相続をきっかけに疎遠になってしまう例を、私は何度も見てきました。

感情のほうであれば、無理に説得しないほうがうまくいきます。「書いてほしい」ではなく「財産にどんなものがあるか教えてほしい」から始める。順番を変えるだけで、話が動くことが少なくありません。

遺言書の有無で、手続きはここまで変わります

ご家族が実感しにくいのは、遺言書がある場合とない場合で、残された方の手続きがどれほど違うかという点です。

遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しなければなりません。全員の合意が前提ですから、一人でも納得しない方がいれば、手続きはそこで止まります。

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産を誰がどのように引き継ぐかを、相続人全員で話し合って決める手続きのことです。

そして私の実務の実感として、分けにくい財産があるご家庭ほど、この話し合いはなかなかまとまりません。自宅の不動産が財産の大半を占めていて、現金がほとんどないというケースがその典型です。

私は注文住宅の営業担当として31年間、170棟の住まいづくりに携わってきました。ご家族それぞれの意向を伺いながら調整を重ねてきたその経験から申し上げると、不動産は「分ける」ことが本当に難しい財産です。誰が住むのか、売るのか、代償金は誰が用意するのか。論点が一つではないため、感情が絡むと収拾がつかなくなります。

遺言書があれば、この協議そのものが不要になります。遺言書を作成する方に共通するいちばんのメリットは、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、手続きを円滑に進められることだと私は考えています。

公正証書だけではない、手軽な遺言書の作り方

「遺言書は難しそう」と身構える方も少なくありませんが、心配はいりません。

遺言公正証書を勧める専門家は多く、私も確実性の面ではこれを第一にお勧めしています。ただ、最初の一歩としてご家族が親御さんに提案するなら、私は必ずしもそこから入らなくてよいと考えています。理由は、費用と手間のハードルが、まさに今動き出そうとしている気持ちを止めてしまうことがあるからです。

自筆証書遺言であれば、ご本人が自分で書いて残すことができます。自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言書のことです。

ここは私の考えが分かれるところかもしれませんが、まずは書いてみることに意味があると思っています。一度書いてみると、財産の全体像が見え、誰に何を残したいのかがご本人の中で整理されるからです。

そして大切なのは、遺言書は何度でも書き換えられるということです。「一度書いたら変えられない」と思い込んでいる親御さんは、驚くほど多くいらっしゃいます。状況が変われば書き直せばよいことをお伝えすると、表情が和らぐ方が多いのです。

ただし、自筆証書遺言にも遺言公正証書にも、法律で決められた要件や形式があります。そこに不備があると、せっかくのお気持ちが無効になってしまいます。だからこそ、正しい書き方を一つひとつ丁寧にご説明するのが私の役目だと考えています。

書いた後まで見据える、遺言執行者と任意後見

遺言書ができたら終わり、ではありません。ここから先を一緒に考えることが、私が大切にしている点です。

一つは、遺言執行者を決めておくことです。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことをいいます。せっかく遺言書があっても、実際に金融機関や役所で手続きを進める人が決まっていなければ、ご家族の負担は残ってしまいます。

もう一つが、任意後見契約です。任意後見契約とは、判断能力があるうちに、将来支援してくれる人と支援の内容をあらかじめ決めておく契約のことです。

遺言書は亡くなった後に効力を持つものですが、その手前には、判断能力が落ちてから相続が始まるまでの長い期間があります。その間の備えがないと、実家を売って施設の費用にあてたいのに手続きが進まない、といった事態が起こります。

私は、遺言書・遺言執行者・任意後見の三つをひと続きのものとしてご提案しています。当事務所の2023年実績では、遺言書作成8件、遺言執行業務3件、相続業務19件、任意後見契約2件を承りました(2023年12月現在)。数字としては決して多くありませんが、一件ずつ、ご家族の事情に合わせて時間をかけています。

なお私自身、行政書士になって間もない頃に父を亡くしました。事前に遺言書を書いてもらっていたため、兄弟が遺産をめぐって争う事態を避けることができました。この経験があるからこそ、ご家族に「早めに」とお伝えし続けているのです。

まずはご本人と一緒にご相談ください

親御さんに遺言書を書いてもらうために、ご家族だけで説得を続ける必要はありません。第三者である行政書士が同席すると、驚くほどすんなり話が進むことがあります。

行政書士の価値は、いい意味でハードルが低く、身近なことだと思っています。当事務所は名取市名取が丘にあり、名取市を中心に仙台市、岩沼市、亘理郡のご相談を承っています。事務所へお越しいただくほか、ご自宅への出張相談にも対応しています。ご自宅で伺ったほうが暮らしぶりがわかり、本音をお聞きできることが多いためです。

土日祝日や早朝・夜間のご相談、TeamsやZoomといったオンラインでの面談にも柔軟に対応しています。まさる行政書士事務所の菅野勝が、遺言書作成の最初の一歩から、その先の相続手続きまでご一緒します。

まとめ

遺言書は、一度書いたら終わりの重い決断ではなく、何度でも書き直せる家族への手紙のようなものだと私は思っています。完璧を目指すより、まず一歩を踏み出すことのほうが、ご家族の未来を守ってくれます。

・親に遺言書を書いてほしいが、切り出し方がわからない方

・「うちは揉めない」と言う親御さんへの伝え方に悩んでいる方

・自宅など分けにくい財産があり、将来が不安な方

・遺言書だけでなく、認知症への備えもあわせて考えたい方

まさる行政書士事務所まで、まずはお気軽にご相談ください。