「相続のことはネットで調べれば何とかなる」と考える方は少なくありません。今はスマートフォンひとつで、遺言書の書き方も相続手続きの流れも、いくらでも情報が出てきます。だからこそ「わざわざ専門家に頼むほどのことではない」と感じてしまう。そのお気持ちは、よく分かります。
しかし実際にお話を伺っていくと、集めた情報がご自身のご家庭にはあてはまらなかった、というケースが少なくありません。私の体感では、ご相談者のおよそ3人に1人が、ネットで得た情報を頼りに自己流で進めた結果、途中で行き詰まって相談に来られています。
名取市を中心に相続のご相談をお受けしている行政書士として、今日はこの「ネット情報の鵜呑み」がなぜ危ういのか、そして自己流での行き詰まりをどう防げるのか、実務の現場からお話しします。

ネット情報を鵜呑みにしてしまう理由
実は、これは知識のない方が陥る失敗ではありません。むしろ、きちんと調べようとする真面目な方ほど起こりやすいのです。
相続の情報は世の中にあふれています。ところが、そのほとんどは「一般論」です。誰にでもあてはまる平均的な説明であって、あなたのご家庭の事情に合わせて書かれたものではありません。ご家族の構成、財産の中身、相続人どうしの関係性、こうした条件が少し違うだけで、取るべき手続きも注意点もまったく変わってきます。
それでも「情報は集めた」という安心感があると、自分の状況に合っているかどうかを確かめないまま進めてしまう。ここに落とし穴があります。足りないのは情報の量ではなく、「自分の場合はどうなのか」という一点なのです。

自己判断のまま進むと起きる二つの問題
では、自己流のまま進めるとどうなるのか。私が現場でよく見てきたのは、大きく二つの問題です。
一つは、時間がかかることです。相続の手続きには、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、金融機関での預金口座の解約など、順番と要件が決まっているものが数多くあります。ネットの情報を頼りに進めると、いざ提出という段階で書類の不備が見つかり、集め直しや作り直しで何度も足踏みする。
役所や金融機関の窓口に何度も足を運ぶうちに、気づけば数か月が過ぎていた、という方は珍しくありません。相続には期限のある手続きもありますから、こうした遅れが思わぬ不利益につながることもあります。
もう一つ、私が最も心配しているのが、相続人どうしのトラブルです。誰がどの財産をどう引き継ぐのか。この話し合いがこじれると、それまで仲の良かったご兄弟でさえ、口をきかなくなってしまうことがあります。相続をめぐる争いは「争続」とも呼ばれますが、いったんこじれると、時間もお金も、そして何より家族の気持ちが大きくすり減っていきます。
こうした問題は、財産が多い家庭だけの話ではありません。むしろ「うちは大した財産もないから」と油断しているご家庭ほど、準備がないまま相続の日を迎えてしまいがちなのです。

「専門家は高い」という思い込みを解く
ここで、多くの方が抱いている二つの誤解についてお話しさせてください。
一つ目は「専門家に頼むと費用が高い」という思い込みです。確かに費用はかかります。しかし、自己流で進めて手続きが長引いたり、家族間の争いに発展したりしたときにかかる時間・労力・精神的な負担と比べれば、早めに相談して正しい道筋を描くほうが、結果として負担が小さくて済むことが多いのです。
二つ目は「専門家に頼むほどの内容ではない」という思い込みです。私がお伝えしたいのは、行政書士は、いい意味でハードルの低い、身近な相談先だということです。何から手をつければいいのか分からない、この方法で合っているのか不安、その段階でお声がけいただいて構いません。むしろ、何も起きていない今のうちに相談していただくことが、いちばんの近道です。
私自身、行政書士になって間もない頃に父を亡くしました。ですが、父が生前に遺言書を残してくれていたおかげで、兄弟が遺産を巡って争うことはありませんでした。あのとき準備があってよかった、という実感は、今の私の仕事の原点になっています。だからこそ、備えの大切さを、我がこととしてお伝えできるのです。

相談すべきタイミングは「なるべく早く」
最後に、いちばんよく聞かれるご質問にお答えします。「どの段階で相談すればいいですか?」という問いです。
答えは、なるべく早く、です。もっと言えば、「近い将来、相続のことを考える時期が来そうだ」と感じたそのときが、相談のタイミングです。
相続が実際に起きてからでは、選べる方法が限られてしまいますが、まだ何も起きていない、元気なうちにこそ、できる準備がたくさんあります。例えば遺言書の作成は、その代表です。
私は、身近な方どうしが日頃から連絡を取り合い、思いを共有しておくことも、立派な相続対策だと考えています。財産の話は切り出しにくいものですが、元気なうちに家族で少しずつ話しておくだけで、いざというときの負担は大きく変わります。
私自身、ハウスメーカーの営業として長年、ご家族それぞれのお気持ちを伺いながら住まいづくりを調整してきました。相続のご相談でも、同じように一人ひとりの背景に耳を傾けることを大切にしています。難しく考える必要はありません。まずは「相談してみようかな」という、その一歩からで十分です。

まとめ
相続は、正しい情報と早めの一歩があれば、決して怖いものではありません。ネットの一般論に頼りきる前に、まずはご自身の状況を、身近な専門家と一緒に確かめてみてください。
・相続について何から始めればよいか分からない方
・ネットで調べたが自分の場合が不安な方
・家族が元気なうちに準備を始めたい方 宮城県名取市の「まさる行政書士事務所」では、遺言・相続・成年後見のご相談を承っています。まずはお気軽にご相談ください。
